表層型メタンハイドレートの経済性

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  1. メタンハイドレートとは
  2. 表層型 VS 砂層型
  3. 表層型 VS 熱水鉱床
  4. 表層型 VS 石炭
  5. 表層型 VS ジャガイモ

メタンハイドレートとは

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表層型 VS 砂層型

砂層型が海底にパイプを突き刺し、ガス吸い出すだけなのに対し、表層型は海底を土砂ごと掘削し、海中または海上でガスを分解。砂層型でさえ商業化に対する懐疑論の多い中、それより賦存量が少なく、回収コストの大きい表層型が商業化可能か?

回収技術

  • 砂層型(石油工学):海底下でメタンに分解(コスト大)、掘削/揚収(コスト小)
  • 表層型(海洋土木):土砂とメタンハイドレート(水85%)を掘削/揚収(コスト大)、海上で自然分解(コスト小)+掘削土砂/プルームの処理コスト
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賦存量と商業化

  • 表層型海鷹マウンドの賦存量は6億m3(チャンピオンデータ?)x1742箇所
  • 砂層型の商業化最低条件は100億m3(長期生産には減圧法の改良が必要で更に大)
  • 砂層型は石油工学の技術が応用可能であるが、表層型は掘削、揚収、環境保護に余分なコスト、エネルギーが必要
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表層型 VS 熱水鉱床

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  • 表層型貯留層の価値は最大7,300円/トン(100%ハイドレート時)
  • 熱水鉱床の価値は数万円/トン以上のものもあるが、商業化困難

鉱物資源用の回収技術はオーバースペック?

本事業で産総研が有望技術として採択した2方式は、いずれも、鉱物資源の掘削技術の応用で、単位土砂あたりの掘削コストは同程度。
一方、海底の土砂を含む資源価値は、表層型メタンハイドレートの場合、全てがメタンハイドレートだとしても7,300千円/トン、賦存率、回収率を考慮すれば、その数分の1。これに対し、熱水鉱床の場合は、金・銅・亜鉛等で数万円/トン以上の鉱床もあり。
研究開発が進んでいる熱水鉱床が、経済性の理由から、商業化されていないのに、資源価値の劣る表層型メタンハイドレートが商業化可能か?

関連記事「奄美大島沖にて有望な海底熱水鉱床を新たに発見

採取した7試料を分析した結果、 平均で銅1.52%、 鉛11.07%、 亜鉛16.37%、 金32.5グラム/トン、 銀8,322グラム/トンの品位が得られ、 亜鉛・鉛を主体に、 これまでにない高品位の金・銀を含む有望な鉱床となることが期待されます。 

熱水鉱床の経済性

未発見の高品位鉱床(採掘量5,000トン/日で20年間操業可能)を想定しても、採算が合わない
表層型より良質で、日本の陸地に大量にあるのに、コストの問題で輸入している石炭。海底資源の採掘は陸地の10倍のコストがかかると言われているが。。。

エネルギー量(石炭の1/3)

石炭22.5MJ/kg 質量0.8とすれば

埋蔵量




表層型 VS ジャガイモ

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高価な鉱物資源の掘削技術で水深1,000mの海底からイモを掘ってペイするのか?

エネルギー量(ジャガイモと同等)

実際、メタンハイドレートから得られるエネルギーは、同じ重さのジャガイモよりは多いですが、サツマイモよりは少ないくらいです。MH21-S

市場価格(ジャガイモの1/21)

ジャガイモ150円/kg、メタン40円/m3(57,250円/トン÷1,397m3/トン)とすれば

生産額

北海道のジャガイモ年間生産量を118万トン、新潟沖マウンドのメタン賦存量を6億m3(43万トン)とすれば