メタンプルーム資源化の検証
青山繁晴議員*1は国会でメタンプルーム*2の優先開発を提案している。その根拠となる湧出量、収益、EPR*3の予測値は九州大学*4が算出しているが、この際に利用した青山千春博士のデータ(プルーム1本あたりのメタン量)に重大な誤りがあることが判明した。そこで、正しい値で再計算すると共に、類似の研究を行っている北見工業大学のデータや独自の計算結果、さらには千春博士自身の最新実験結果も加え、プルーム資源化の妥当性を検証する。
千春(誤)
論文、湧出量は3,000トン(誤)、2.1トン(正)
計量魚群探知機によるメタンプルームの観測とメタン運搬量の見積もり (青山千春2009)
メタンのモル数を質量に変換する際に1427倍大きく計算?
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography/118/1/118_1_156/_pdf
「自然現象のプルームの 1 年間の湧出量を 試算し,
• 半分がガス,半分がハイドレートと仮定し た場合,3 × 10⁹ グラム(= 131400 mol )」
(誤)131400mol x 16.04g/mol = 3 × 10⁹ g(3,000トン)
(正)131400mol x 16.04g/mol = 2107656g(2.1トン)
九大(誤)
国会、EPRは0.6~28.5 、 3,000トン(誤)から算出
参議院資源エネルギー調査会 九州大学 渡邊裕章准教授 2019.2.27
繁晴(嘘)
国会、EPRは80~100以上、九大によれば
計算条件
九大、国会説明より
論文入手不可の為、九大の国会説明より計算条件を推定
計算結果
九大(誤)、(正)は共に異常、その他が正常値か
湧出量から収益、EPRを比例計算、九大(誤)は九大(正)の1427倍、その他は16~36倍に収まり正常値か
表中の九大(誤)、(正)は千春論文の(誤)、(正)を適用。備考
九大(誤)以外の収益、EPRは湧出量から単純比例計算- 一般に、非線形(非比例)の場合、数が減れば収益、収支はさらに悪化。
- 収益
収益=湧出量x単価。湧出量は原始資源量(存在量)であり、可採埋蔵量(回収率考慮)はさらに小。 - EPR(計算式の詳細不明のため参考値)
一般に、EPR=Eout/EinでEinは一定ではないので湧出量に単純比例ではないが、九大「プルームの数に比例いたしましてEPRという値は増加」より、EPR∝プルーム数∝湧出量とした。EPRはシステムの違い(液化orパイプライン輸送等)により特性や値が大幅に変化するが、EPR最大と思われるパイプラインでは液化投入エネルギーを必要としない為、九大のモデルでは大きな誤差はないと考える。
考察
何れの結果も湧出量が少なく、商業化の見込みはない
プルームの商業化はエネルギーと金を海に捨てるようなもの
- メタンプルームは湧出量が圧倒的に少なく、回収技術が進んでも商業化の見込みはない。
- 九大(正)ではプルーム一本のメタン湧出量が2943m³で一般家庭における都市ガスの消費量を年間約340m³とすると、わずか9軒分。上越沖全体40本でも360軒分、年間収益は259万円で作業員1人の人件費にもならない。
- 九大(誤)、(正)は共に異常値、その他はオーダーは一致しており正常値か。その内で最大の独自でも年間収益は1億円以下(回収費用は20億円以上?)で採算は合わず、EPRは1未満で資源ではない。
- 九大は最新の実験や北見工大のデータを見れば誤りに気付くハズ。わざわざ10年前の異常データを参照するのは何故か?
- 青山議員はプルームの資源量を千春博士の論文より5000倍多く説明し(資源量=湧出量∝EPR:100/0.02倍)、政府に予算を要求。
結論
メタンプルームの資源化は論外、訂正、謝罪を
プルームは資源ではない、青山繁晴・千春、九大は事実を明らかにして訂正、謝罪を
- メタンプルームの湧出量、収益、EPRを計算した結果、資源にはなり得ないことが判った。
- 青山千春博士は計算ミスの理由を明確にし、正式に論文を訂正すべき。
- 九州大学は計算ミス値を参照した理由を明確にし、正しい値で再計算すべき。
- 青山繁晴議員は九州大学の再計算結果を国会に報告した上で、科学や国会を冒涜した虚言を謝罪し、メタンプルームの資源化推進を止めるべき。
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