メタンハイドレート概要

メタンハイド―レートは低温かつ高圧の条件下でメタンガスと水が固体化したもの。太平洋側の砂層型と日本海側の表層型に分類され、資源量は多いが回収コストが高いため、在来型の資源が枯渇しエネルギー価格が高騰するまで商業化できない。その時期は早くても数十年後で輸入エネルギーの一部を賄う程度。莫大な予算で開発を続けているのは利権のため。エネルギー収支が1以下で原理的に資源にはなり得ないという説も。
  1. 日本の取り組み
  2.  メタンハイドレートとは
  3. 砂層型
  4. 表層型
  5. メタンプルーム
  6. 資料
*)可採資源量:埋蔵量(回収可能量)、賦存量:原始資源量(存在量)

日本の取り組み

2001年から1,235億円*を賭けたが、商業化のめど立たず

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*)2019以降、毎年100億円程度加算

砂層型に続き表層型の開発へ

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 メタンハイドレートとは

メタンガスと水が低温・高圧の状態で結合した氷状の物質

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砂層型:太平洋、表層型:日本海

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砂層型:海底下で砂と混在、表層型:海底付近に氷状で存在

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エネルギー収支比は1以下?

EPR
2 エネルギー収支の試算 ガス生産量が大きい条件から小さい条件までエネルギー収支の試算を行った結果、MH の EROIは重油並みの 10‐16 程度と試算された。現時点において、想定されているような生産挙動が得 られるのであれば、MH 開発に向けて研究開発を行うことは、国産エネルギーの有効活用という 観点において合理性を有すると言える。

可採資源量:日本海域で日本のガス使用量の数年分

東日本大震災以降、国内の天然ガス使用量は2倍くらいになっています。メタンハイドレート天然ガスですから、それを日本で採れればと期待できるかもしれない。でも、現実的には、天然ガスの役割の一部分をメタンハイドレートが果たす、というくらいでしょう」

松本特任教授が言うには、国内のメタンハイドレートの総量は、今の日本が一年に使っている天然ガスの数倍から10倍ほどしかないという。

松本2017

砂層型

太平洋:海底下で砂と混在

「砂層型は広い範囲に分布しているので量的には多いのですが、その分広範囲から集めてこなくちゃいけない。石油の場合は流体ですから、1カ所の櫓(やぐら)で圧を抜くと、自然に移動してきて集めることができる。言ってしまえばストロー1本刺せばいいわけです。ですが、ハイドレートは固体なので、そう簡単にはいかない。海底面下数百mの深度で、数kmの範囲に広がっているメタンハイドレートから、どのようにガスを集めるのかという大きな課題があります」松本2017

 

賦存量:東部南海トラフで日本のガス使用量の11年分

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回収技術:減圧法(ガス生産レートが時間と共に減少)

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表層型

日本海:海底付近に氷状で存在

「表層型は直径は数百m、厚さは100mくらいの円盤状に、最初から1カ所に集まっています。こちらの問題も、それをどう採るかですね。メタンハイドレートというのは水より比重が軽く、海底に出てくるとプカプカ浮いてくるので、おそらくは塊のままパイプの中を誘導するという形を取ることになると思います。海水中を浮上してくれば圧力が下がり、温度も上がって自然に分解するので、1000mものパイプの中を浮上させることもできる。それが、私が考えている基本的な採掘方法です」松本2017


賦存量:上越沖マウンドで日本のガス使用量の2日分

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回収技術:なし(公募、検討中)

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メタンプルーム

日本海メタンハイドレートの泡

メタンプルーム(英: methane plume)*1 とは、海中を泡のように浮上するメタンハイドレート。通常、海底から湧き出たメタンガスは直ぐに海水に溶けるが、一定の条件下(低温、高圧)ではハイドレート化して浮上する。近年、地球環境の変動要因として世界で研究されているが、資源としての研究は日本の極一部の研究者のみ。メタンプルームは日本では日本海で多く見られ、高さはスカイツリー程の物もあるが、疎らであるため、資源としては一本で数軒の民家が賄える程度。


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賦存量:ブルーム1本で一般家庭のガス使用量の数軒分

 プルームのメタン湧出量は、化石燃料の原始資源量と同じで、どんなに技術が進歩してもこれ以上は回収できません。そのエネルギー量は太陽光と同程度。また、エネルギー収支比は1未満で、例えば、プルームで1のエネルギーを得るには、石炭を1以上の燃やさなければなりません。回収すればするほど、輸入エネルギーとCO2が増える最悪の自前資源です。


回収技術:なし(資源ではない) 




資料

公式


■砂層型メタンハイドレート(MH21-S)



ネット番組


メタンハイドレートにダマされるな

資源かどうかの見極めは、エネルギー収支比を見ればわかります。通常のガス田ならば掘削すればガスが自噴しますが、メタンハイドレートは固体です。まずは固体からメタンガスを遊離しなければならず、そのためには相当のエネルギーが必要になる。入力エネルギーを1とした場合、油田の初期なら100の出力エネルギーがあるのに対し、メタンハイドレートはガス化にエネルギーが必要ですからエネルギー収支比は1以下、経済性がまったくないでしょう。ちなみにシェールガスの出力エネルギーは5程度とされています。


 

「燃える氷」メタンハイドレートは本当に日本を変えるのか

「国が主導して行ってきた南海トラフでの調査は、予備調査を含めてすでに20年以上続けてきているのですが、今も決着はついていないんです。資源として回収できるものなのか、また回収できるとしてもどのような方法で行えばいいのか」

まだ採掘手段が確立されていないどころか、資源として回収できるものなのかどうかも議論が続いているという。メタンハイドレートの実用化は、想像以上にハードルが高いようだ。

メタンハイドレートさえあれば日本のエネルギーは大丈夫だというのは幻想ですね。存在している資源の全てが回収できるわけじゃない。これを輸出できてなんていうのは、現実を知らない人だけです。そう言って一般の人を惑わせてはいけないでしょう。資源については間違ったことが平気で流されて、時にはそれが政策にまで影響してしまうということがあるので、関係者には科学的事実を正しく理解し、共有してほしいと思います」


「メタンハイドレート商業化は無理」の声が噴出 資源大国という壮大な幻

 だが、ある資源開発企業の社員は首をかしげる。「地中で圧力を下げてガスを取り出せば、その周辺部との圧力差が生じるため地層内で崩壊が起こり砂が交じるのは、この業界では常識だ。しかしその対策が不十分だったため、国は100億円以上投じてムダな実験をしてしまった」。
 海底資源を研究するある大学教授も手厳しい。「減圧法の問題点は、ずっと前から国の審議会で指摘されてきたもの。あの試験では、やはり無理なことがわかっただけだ」。
 経産省は当初、今年中にも2回目の海洋産出試験を行う予定だった。だが生産手法の欠陥が浮き彫りになったことで「なぜ砂が入ってきてしまうのか、さらなる原因分析と技術課題克服に時間を要する」(JOGMEC石油開発技術本部の中塚善博氏)と、延期を決めた。


メタンハイドレートで未来はあるのか?

「結果から先に言えば、今回は12日間の産出試験で35,000立方メートルのガスを回収した。2013年の試験では6日間の操業で12万立方メートルのガスを回収できたので、それを下回ったわけである。両方とも、もっと長い期間の操業を期待したのであるが、いずれも沢山の砂粒がボーリング孔に入り込んでくる出砂現象で産出が止まってしまったのである。」
「今年5月の試験操業で回収できたメタンガスの量は35,000立方メートルであった。これを金額に直すと約130万円ということができる。探査船ちきゅう号を含めた今回の試験操業の予算はおそらく100億円を越えるものであったろうと思われる。1000mという深海からのガス生産はそれほど高コストであり、解決しなければならない問題は山ほど残っている。」
一番の問題は吸熱反応

 自然を相手にすることに加えて、メタンハイドレートからメタンガスを回収する際の一番の問題は「メタンハイドレートがメタンガス(気体)と水(液体)に分解する反応は周囲から熱を奪う吸熱反応(400kj/kg)」であることがある。

 つまり分解・回収を続けていると地層の温度が低下し、分解が止まり、生産レートが下がる特徴があるのである。何らかの方法で熱を供給してやらねば分解が止まるわけで、渥美半島沖などの砂層型と呼ばれる資源の採掘では周囲(特に上下の)泥岩層からの熱補給が可能と考えられている。これは地球熱の利用というわけであるが、果たしてどこまでそのような熱補給が可能であるかは長期の操業をやって見なければ分からないであろう。

 上記のように崩落が生じれば、上部泥岩層からの熱補給は中断されるであろうし、途中に断層が存在したり、泥岩層が途中で消え失せて熱伝導度の異なる地層に熱の供給を依存する場合も考えられよう。自然任せということは、生産のコントロールがそれだけ難しくなることを物語るものと言えよう。


China and Japan find way to extract 'combustible ice' from seafloor, harnessing a legendary frozen fossil fuel

The consensus within the industry is that commercial development won’t happen until at least 2030.
Smaller scale output could happen as early as 2020, said Tim Collett, a scientist with the U.S. Geological Survey.


China extracts 861,400 cubic metres of natural gas from ‘flammable ice’ in South China Sea

Fan Xiao, chief engineer with the Sichuan Geology and Mineral Bureau, said that compared to conventional fuels like oil and gas, flammable ice was still too costly to extract to make its widespread use commercially viable.


「石油系エネルギー資源の行く末を人類の知恵は乗り越えられるか」

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Why ‘flammable ice’ could be the future of energy

But at the same time, Japan is committing to moving towards renewable energies and decarbonisation. As technologies for harnessing renewable energy become better and cheaper, the role for fossil fuels – especially experimental and expensive ones like methane hydrate – decreases. The longer it takes to get methane from gas hydrate reserves on a commercial scale, the shorter the useful window for using it may be. The other possibility is that adding in a new accessible source of fossil fuel could delay the transition to renewables, says Collett.


CO2排出料の比較

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メタンハイドレートの試掘に成功

この開発作業を進めている石油・天然ガス・金属資源開発機構(JOGMEC)によるメタンガスの生産原価の試算値 46 ~174 円/m3を、米国のシェールガスの10円/m3 と比較している。